いよいよ2学期が始まります。夏休みのあいだにのびた画面の時間をどう戻そうか、という話し合いが、どの家でも一度は出ている頃かもしれません。時間の線引きは、結局それぞれの家庭が自分たちで決めるしかないもの——そう思って過ごしてきました。ところが今週は、その線を外側から引き直そうとする動きが3つ重なりました。家のルールを決め直すときに、参考にしてみてください。
子供のInstagram、1日2時間になるの?
InstagramとFacebookを運営するMetaが、米国の48州などとの訴訟で和解したとAl Jazeeraが報じています。公表は2026年8月26日、支払額は10年間で約180億ドルとされています。ただ家庭に効いてくるのは金額より、あわせて約束された設計変更のほうです。18歳未満のアカウントには、次の設定が初期状態で入ります。
- 1日の利用時間の上限は2時間
- 深夜0時から午前6時までは使えない
- 「いいね」やリアクションの数を表示しない
- 学校の時間帯(午前8時〜午後3時)の通知は大半を止める
1日2時間
Metaが18歳未満のアカウントに初期状態で入れる利用時間の上限。あわせて深夜0時〜午前6時は利用停止、「いいね」やリアクションの数は非表示、学校時間帯(午前8時〜午後3時)の通知は大半を停止(米国48州などとの和解、2026年8月26日公表)。
国が規制したのではなく、事業者が自分から設計を変えると約束した点が新しいところです。ただし評価は割れています。年齢確認事業者の団体AVPAが「最も重大な介入だ」と歓迎する一方、デジタル権利擁護団体のElectronic Frontier Foundationは「プライバシーと匿名性を損なう」と批判しました。しかも誰が18歳未満なのかを見分ける方法は、まだ決まっていません。先週触れたオーストラリアでも、禁止から3か月で8割超の子供が使い続けていました。
これは米国の州との和解で、日本のアカウントに同じ設定が入るかは各報道とも不明です。それでも、大人たちが子供のために選んだ数字が具体的に見えるのは参考になります。自分の家のルールと並べると、緩いのか厳しいのかの見当がつきます。
お子さんには: 「1日2時間」と聞くと「そんなの無理」と反発が先に出るかもしれません。まず「短いよね」と受け止めて、時間の話はいったん脇に置き「いいねの数が見えなくなるのって、どう思う?」と聞いてみるのはどうでしょう。数が見えるから気になるという仕組みの話になり、しんどさのありかを子供の言葉で聞けそうです。
グーグルはなぜSNSの一律年齢制限に反対したのか?
グーグルで利用者の安全を担当する部門のローリー・リチャードソン副社長が2026年8月27日にこども家庭庁を訪れ、黄川田仁志こども政策担当大臣と面会しました。ABEMA TIMESなどによれば、副社長は日本が検討しているSNSの年齢による一律の制限は間違っている、との考えを示しました。規制をしても子供は別のプラットフォームに流れること、AIやインターネットに触れる機会を一切遮断するのは適切でないこと、の2点が理由です。大臣は、こうした意見も踏まえて議論を進めたい、と応じたと報じられています。
先週の記事でお伝えした法整備の検討に、規制される側が直接意見を述べた形です。前の話題と並べると少し妙です。一方は自分から厳しい設定を入れると言い、もう一方は一律に区切るのは違うと言う。「事業者」とひとくくりにできないのが今の状況のようです。
もっとも、発言したのは規制の対象になりうる企業の当事者です。規制を求める側には、自主的な対応では守り切れなかったという言い分があり、決着はついていません。家庭が引き取れるのは、別のプラットフォームに流れるという指摘のほうです。1つのアプリを禁止したら別のアプリに移っていた、という経験を持つ家庭は多いはずです。禁止する対象を選ぶより、どこまでなら一緒に見られるかを決めるほうが続きやすいのかもしれません。
お子さんには: 「グーグルが年齢制限に反対したらしいよ」と伝えると、「ほら、大人でもそう言ってる」と味方を見つけたように受け取るかもしれません。そこで反論せず「もし今使ってるアプリが使えなくなったら、次はどこに行くと思う?」と聞いてみると、規制の是非ではなく、自分が誰とつながっていたいのかを子供自身が話しはじめそうです。
災害のときのデマ、子供はどう見分ける?
LINEヤフーが2026年8月28日、9月1日の「防災の日」に向けた子供向けの特設サイト「9.1防災の日 #災害に備える 2026」を公開したとこどもとITが伝えています。大雨・台風編と地震編に分かれた「もしもの災害タイムライン」で避難のタイミングをクイズ形式で学べるほか、「フェイクニュースモンスターズ」の特別企画として災害のときに出回りやすい偽・誤情報を実例つきで紹介します。1つあたり5分程度です。
防災訓練は体の動かし方を練習しますが、こちらは情報の受け取り方を練習させます。災害のときのデマがやっかいなのは、多くが善意で広がるところです。だますつもりではなく、助けたくて回す。だからこそ「怪しい人にだまされないように」という身構え方では防ぎきれません。
見分け方そのものは「子供がネットの『ウソ』にだまされないために」で、災害のときの備えは「大きな地震のあと、家族でスマホとどう向き合う?」で一度整理しました。そこに1つ足すとすれば、災害のときは「急いで広めない」だけで、かなりの部分が防げるということです。明日がちょうど9月1日です。夕食のあとにでも一緒に開いてみるのはどうでしょう。
お子さんには: 「デマにだまされないようにね」と言うと、「そんなのすぐわかるし」と返ってくることが多いかもしれません。実際に子供が引っかかるのは、だまされるときより善意で回してしまうときです。「本当かどうかわからないけど、困ってる人がいるなら教えたほうがよくない?って思ったこと、ある?」と聞いてみると、自分もやりそうだと気づくところから話が始められそうです。
来週も、子供とデジタルにまつわる気になるニュースをまとめてお届けします。
関連する用語
- 年齢確認(Age Assurance) — 自己申告だけに頼らず、技術的に年齢を確かめる仕組みの総称。
- 偽・誤情報 — 意図的に作られた誤りの情報と、意図せず広まった誤りの情報の総称。


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