夏休みが終わる朝、「行きたくない」とぽつりと言われたら、どう答えますか。持ち物の準備を手伝いながらも、頭の中は「え、どうして」「大丈夫かな」でいっぱいになる。そんな朝を経験したことのある家庭は、実は少なくありません。そしてその日の夜、子供がスマホやゲームに向かっている姿を見て、「学校に行けなかったのに、ゲームはするんだ」と複雑な気持ちになることもあるかもしれません。
なぜこの時期なのか
長い休みが明けた直後は、多くの子供にとって生活のリズムや人間関係が一度リセットされ、また一から動き出す節目にあたります。学校現場でも、この時期の子供の心の変化には特に注意を払うべきだとされており、文部科学省も長期休業明けの見守りを学校・保護者に呼びかけています(文部科学省 令和6年7月12日通知)。「行きたくない」という一言の背景には、単なる気だるさから、友達関係の不安、勉強についていけるかという心配まで、家庭ごとにさまざまな重さの事情があります。
子供の目線では
「行きたくない」を言葉にできる子はまだ幸運な方かもしれません。多くの子供は、うまく理由を説明できないまま、布団の中で「なんとなく気が重い」を抱えたまま朝を迎えます。学校のことは聞かれたくないのに、部屋に戻ってヘッドセットをつけ、いつもの友達から「おかえり」と一声かけられた瞬間だけ、肩の力がふっと抜ける——そんな数分間が、その日いちばん息をつける時間になっている子もいます。
「取り上げる」ことのリスク
児童精神科医の関正樹氏は、学校に足が向かなくなった子供がゲームに向かう状況について、それを無理に取り上げると、子供から大切な居場所を奪うことになると指摘しています(ココハレ, 2024年7月17日)。オンラインゲームやSNSといった「好きな世界」が残っていること自体に意味があり、学校という居場所を失いかけている子供にとって、それが心を支える場になっているという見方です。
顔が見えないからこそ気軽に関われる、共通の趣味でつながれる——オンラインならではのつながり方が、今の学校生活に悩む子供にとって、数少ない安心できる関係になっていることは珍しくありません。「ゲームのせいで学校に行けなくなった」のではなく、「学校に行けなくて苦しいからこそゲームに向かっている」という順番で捉えると、見え方が変わってきます。
親に知ってほしいこと
- 「行きたくない」の背景は家庭ごとに軽重さまざまで、単純に片づけられないことが多いです
- オンラインの居場所を無理に取り上げることは、専門家によれば逆効果になりうるとされています
子供から伝えたいこと
「行きたくない理由、自分でもうまく言葉にできない。サボってるって思われてないか、それも気になる。でも聞かれると、余計に何て言えばいいかわからなくなる」
親子で話してみたいこと
- 最近、学校で楽しみにしていることはある?
- ゲームや友達とのやり取りの中で、今いちばん安心できることは何?
ちょうどいいところを考えるなら
今すぐ取り上げる・すべて自由にさせる、のどちらでもなく、「今の居場所は否定せず残しながら、ほかに好きなことも一緒に探していく」という関わり方を勧める専門家もいます。四六時中画面に向かっていることへの心配自体は、親として当然の気持ちです。それでも、まず居場所を取り上げないことを優先してみる価値はありそうです。
もし「行きたくない」気持ちが一時的なものでなく長く続くようなら、学校のスクールカウンセラーや以下の相談窓口に、家庭だけで抱え込まずつながってみることも、決して大げさな選択ではありません。また、急に元気がなくなる、辛そうな言葉が増える、眠れない・食べられない様子が続くといった、いつもと違う変化に気づいたときは、期間の長さにかかわらず早めに頼ってほしいと思います。
- 法務省「こどもの人権110番」 0120-007-110
- 文部科学省 不登校に関する地元の相談窓口
- 文部科学省「24時間子供SOSダイヤル」 0120-0-78310(24時間365日対応)


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