夕飯の支度をしていたら、宿題をしていたはずの子供にこう聞かれた――そんな場面を想像してみてください。「わからないところ、AIに聞いたらダメ?」「これAIに書かせたら早いのに、なんでダメなの?」。今、多くの家庭で実際に起きているやりとりです。
平易な言葉での回答
まず結論から言うと、「AIを使うこと」自体が悪いわけではありません。大事なのは「何のために使うか」です。分からない言葉の意味を調べたり、自分の考えをまとめる前の壁打ち相手にしたりするのは、辞書や参考書を使うのと近い感覚です。一方で、感想文や作文をまるごと書かせて自分の名前で提出する、というのは話が変わってきます。それは「宿題をやった」ことにはならず、本来その宿題が育てようとしていた力(考える力、言葉にする力)が身につかないままになってしまうからです。
背景にあること
こどもとIT(インプレス)が小中学生1,200人を対象に行った調査では、55.7%が「生成AIの登場で学習方法が変わる」と回答しています。半数以上の子供が、AIが勉強のやり方そのものを変えていく実感を持っているということです。これはもう「使うか使わないか」ではなく、「どう付き合っていくか」を考える段階に来ていることを示しています。学校や文部科学省でも、生成AIを学びにどう取り入れるかのガイドラインづくりが進められており、社会全体として答えを探っている最中のテーマでもあります。
子供の目線では
子供からすると、AIは「めんどうな作業を助けてくれる便利な道具」に見えて当然です。周りの友達がAIを使っていると聞けば、自分だけ使わないのは損に感じられるかもしれません。「ズルをしている」という意識より、「みんな使っている新しい道具を試している」という感覚に近いことも多いようです。頭ごなしに「AIはダメ」と言われると、なぜダメなのかが腑に落ちないまま、こっそり使うだけになってしまう恐れもあります。
まとめ
もし今晩また「これ、AIにやってもらっちゃダメ?」と聞かれたら、こんなふうに返してみるのはどうでしょう。
「ダメじゃないよ。わからないところを聞くのは、辞書を引くのと同じだから。でも、AIが書いた文章をそのまま出すのは、自分で考える練習をこっそりお休みすることになる。だから、この宿題は何のためにあるのか——そこだけ、一緒に考えてみようか」
「使う・使わない」の線は、宿題ごとに動きます。手を動かすこと自体が目的の宿題もあれば、考えをまとめることが目的の宿題もある。その線引きを、今日その場で親子で一度やってみる。答えを一度に決めきらなくても、「どう付き合うか」を一緒に話せる関係のほうが、どんな禁止よりも長く効いてくれるはずです。
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