「うちはまだ早いかな」——そう思っていたのに、気づけば同じクラスの子が次々とスマホを持ち始めている。そんな戸惑いを感じている方は、きっと少なくないはずです。私たち親が身構えているうちに、低学年のスマホは、いつのまにか特別なことではなくなってきました。実際、東京都の調査では、小学校1〜3年生の所有率が初めて3割を超え、31.8%に達しました。およそ3人に1人が、自分のスマホを持っている計算です。この数字の裏側で何が起きているのか、一緒に見ていきましょう。
所有率は、学年とともにどう上がっていく?
31.8%
小学校低学年(1〜3年生)のスマホ所有率。東京都 令和7年度「家庭における青少年のスマートフォン等の利用等に関する調査」(2026年4月公表)。初めて3割を超えた。
31.8%という数字だけを見ると多く感じるかもしれませんが、これは坂道の「入口」にあたる段階です。この割合は、東京都が2026年4月に公表した令和7年度「家庭における青少年のスマートフォン等の利用等に関する調査」で示された、低学年(小1〜3年)の所有率です。では学年が上がるとどうなるのか。NTTドコモ モバイル社会研究所の調査では、スマートフォンの所有率は小学5年生で半数を超え、中学1年生になると8割を超えるとされています。低学年の3割は、その坂をのぼり始めたところ、と考えると見通しが立てやすいかもしれません。
もう一つ、気になる変化があります。同研究所は2026年1月、初めてスマホを持つ年齢がさらに下がり、女子については調査開始以来初めて10歳を下回ったと発表しました。「持っている子が増えた」だけでなく、「持ち始める年齢そのもの」が下がってきているようです。
所有率の数字だけでは見えてこない実態もあります。同じ東京都調査をリセマムが分析したところ、低学年の子供のおよそ4人に1人が、SNSやオンラインゲームを通じて「面識のない人とやりとりをした経験がある」と回答しています。「持たせるかどうか」だけでなく、「持たせたあとに何が起きうるか」も、あわせて知っておきたいところです。
子供の目線では
低学年の子供にとって、スマホは「大人が持たせるかどうかを決める道具」というより、友達や兄姉とつながるための自然な手段になっていることが多いようです。周りの子が持っている環境では、「自分だけ持っていない」ことが、さびしさや疎外感につながることもあります。ゲームや動画も、一人で楽しむものというより「誰かと一緒に楽しむもの」。大人がつい抱く「危険から遠ざけたい」という気持ちと、子供の「友達と同じでいたい、つながっていたい」という気持ちは、そもそも出発点が違うのかもしれません。どちらが正しいという話ではなく、この違いを知っておくことが、親子で話し合う出発点になります。
なぜ低年齢化が進んでいるのか
背景には、いくつかの事情が重なっているようです。
- 兄や姉がいる家庭では、下の子も早くから機器に触れる機会が増えること
- 学校配布のGIGA端末(タブレットやパソコン)で、低学年のうちから画面操作に慣れていること
- 共働き家庭を中心に、連絡手段や居場所確認の手段として必要になること
ここで、少しほっとする数字もあります。こども家庭庁の令和7年度調査では、低年齢層の子供を持つ保護者の79.5%が「利用ルールを決めている」と答えています。持たせ始めた低学年のうちは、家庭のルールがよく機能しているようです。ただし同じ調査では、子供の年齢が上がるほど「ルールを決めていない」という回答が増えていきます。裏を返せば、持たせ始めるいまが、いちばんルールを一緒に考えやすいタイミングなのかもしれません。
「早い/遅い」の議論より大事なこと
低学年のスマホには、防犯や連絡手段としての心強さを重く見る声がある一方、発達への影響を心配して時期を遅らせたいという声も根強くあります。どちらにも一理あって、正解が一つに決まる話ではありません。私たちがつい「何歳から持たせるか」で悩みがちなところを、「持たせ始めるとき、どんなルールを一緒に決めるか」に置き換えてみると、少し肩の力が抜けるかもしれません。話し合っておきたいのは、たとえば次のような項目です。
- 何のために持たせるのか(連絡手段・防犯・友達とのつながりなど、目的)
- 使う時間や場所のルール(いつ・どこで使ってよいか)
- フィルタリングなどの設定(何が見られて、何が見られないか)
- SNSやチャットの使い方(誰とどう連絡を取り合うか)
まとめ
「持たせるか、持たせないか」の二択で考えると、答えは出しにくくなります。実際には、どの家庭も次の帯のどこかに立っています。
段階で考える
低学年はこのあたりから始め、学年が上がるほど右へ一段ずつ広げていくイメージです。
東京都などの調査が示すのは、所有率が小5で半数、中1で8割へと坂道のように上がっていくこと。低学年はその坂をのぼり始めたところです。いきなり右端(フルスマホ)に立つより、通話やGPS、決まった相手とのメッセージだけに機能を絞った端末から始め、学年が上がるにつれてアプリや利用時間を一段ずつ広げていく——そんな進め方も、選択肢の一つとして考えられます。
我が家がいま帯のどこにいて、次のどの一段なら現実的か。それを子供と一緒に決められると、「友達とつながりたい」という気持ちと「まだ全部は任せられない」という気持ちの、両方に少しずつ応えていけます。子供にも「いきなり全部じゃなくて、少しずつ一緒に広げていこう」と伝えられたら、それが一番の入口になるはずです。
訂正(2026-07-20)
スマートフォン所有率が学年とともに上がっていく様子について、「小学6年生で半数、中学生で8割前後」としていた記述を、一次データに基づき「小学5年生で半数、中学1年生で8割」に訂正しました。
関連する用語
- GIGA端末 — 国のGIGAスクール構想で小中学生に1人1台配布された学習用のタブレット・パソコン。


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