「SNSで子供を守るための法律」と聞くと、賛成一色に思えるかもしれません。でも実際には中身をめぐって賛否が分かれ、可決後も攻防が続いています。今週はアメリカで動いたこのニュースと、もう一歩踏み込んで「AIとの会話」に絞った新法案の動きをお届けします。
「子どもネット安全法案」、何が賛否を分けている?
米国下院は2026年6月、14本の子どもオンライン安全法案をまとめた「子どもネット・デジタル安全法(KIDS Act)」を267対117の賛成多数で可決しました(共和党162対32・民主党104対85の超党派)。未成年ユーザーの年齢確認やターゲティング広告の禁止、AIチャットボットへの規制などが盛り込まれています。
賛成派は「子供を守る重要な一区切りだ」(共同提出者Brett Guthrie下院議員)と評価する一方、Electronic Frontier Foundation(EFF)は「法的リスクが高まればプラットフォームはより多くの言論を削除するようになる」と、年齢確認がプライバシーを損ないかねないと懸念しています。
しかも上院では、KOSA(子どもオンライン安全法案)を提案してきたBlumenthal議員が下院版を「上院では通らない」と突き返し、上院商業委員会のCruz委員長は7月中に独自審議を行う方針です。可決させた側の中にも「これでは足りない」という声がある、というのが今の状況です。
この法案は米国のものですが、日本でも似たような「年齢確認を強めるべきか」という議論が進んでいます(こども家庭庁の検討状況は7/20の記事で紹介したとおりです)。「確認を厳しくすれば安全になる」という単純な話ではなく、その手段自体が新たな課題を生みうる、という視点が国内の議論を見るときにも役立ちそうです。
お子さんには
「アメリカでは、法律ができたあとも『これで本当に十分か』ってまだ話し合いが続いているみたいだよ」くらいで十分です。
AIとの会話に、専用のルールができる?
「子どもネット安全法案」がプラットフォーム全般の話だったのに対し、「AIとの会話」に絞った動きも出てきました。2026年7月9日、米下院にValerie Foushee議員とGreg Casar議員が超党派で「ピープルファースト・チャットボット法(People-First Chatbot Act)」を提出しました。
事業者に自殺や依存などの害を減らす「安全性重視の設計」を義務付け、未成年の会話ログをAIの学習に使うことを禁止するのが柱です。上院でも近い趣旨の「SAFE KIDS Act」(先ほどのKIDS Actとは別の法案)が同時期に提出されており、下院・上院の両方で動き始めています。
子供がAIチャットボットを「話し相手」のように使う場面は珍しくなくなっています。「何を話したか」がAIの学習に使われるかどうかは、子供自身は意識しにくいところです。使っているアプリでどんな設定になっているか、一度親子で覗いてみるきっかけにできそうです。
お子さんには
「AIと話した内容が、知らないところで別のことに使われたら嫌だよね。それを防ごうっていう法律を考えているところなんだって」
来週も、子供とデジタルにまつわる気になるニュースをお届けします。
関連する用語
- 子どもネット・デジタル安全法(KIDS Act) — KOSAを含む14本の子ども向けデジタル安全法案パッケージ。
- 年齢確認(Age Assurance) — 自己申告ではなく技術的に年齢を担保する仕組み全般。


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