「これって本当かな?」。子供がネットで見た情報をそのまま信じ込んでいるのを見て、ヒヤッとした経験はないでしょうか。フェイクニュースの見分け方は、実は大人にとっても簡単なことではありません。
「見分けられる」と思っている人ほど間違えやすい
総務省が15歳以上5,640人を対象に実施した調査(2026年5月)によれば、過去に偽・誤情報に接した経験のある人のうち、その真偽を「不明確だと感じた」人は48.4%でした。さらに、偽・誤情報に接した人の20.3%が、何らかの形で拡散に加担していたことも分かっています。
興味深いのは、識別力に対する「自信」のようすです。
61.5%
「ディープフェイクを見分けられる」と回答した人の割合(総務省調査、2026年5月)。一方、ICTリテラシーテストで全問正解だった人は39.5%にとどまる。
両者は別の設問なので単純には比較できませんが、拡散に加担した経験がある人ほど全問正解率が高い(48.9%、未経験者は24.7%)というデータもあり、「よく分かっている」という自信そのものが、かえって拡散への警戒心を緩めてしまう可能性が示唆されています。
それでも「今後のICTリテラシー教育は重要」と考える人は83.0%と、関心の高さはわかります。具体的な見分け方のコツについては、子供がネットの「ウソ」にだまされないためにでも扱っていますので、あわせてご覧ください。
フィンランドは3歳から始めている
情報を見極める力を、どう育てていけばいいのでしょうか。参考になりそうなのが、メディアリテラシー教育の先進国として知られるフィンランドの取り組みです。
フィンランドは2013年に国家的なメディアリテラシー教育の推進目標を定め、2016年の新カリキュラムで幼稚園・学校教育に本格的に組み込みました。教育が始まるのは、なんと3歳からです。NewSphereの報道によれば、ある小学校の授業では「事実か虚構か」という課題を通じて見出しや記事の内容を検討し、オンラインニュースが信頼できるかどうかを判断するためのポイントを、子供たち自身が五つ挙げる課題に取り組んだといいます。
現地の教育関係者は、メディアリテラシーについてこう位置づけています。
「メディア・リテラシーは極めて重要な市民的能力だ。国家の安全、そして民主主義を守るうえでも欠かせない」
出典:NewSphere(2026年1月6日)
その「5つ」には、何を挙げればいい?
気になるのは、その5つの中身です。ただ、報道をたどると、決まった5項目が配られて覚えるという形ではなさそうでした。何を挙げるかを考えること自体が課題になっている、という作りです。
とはいえ、まっさらな状態から5つ挙げるのは、大人でもけっこう難しいものです。物差しとして参考になりそうなのが、内閣官房が「偽情報にだまされないために」として公開している5つのチェックポイントです。フィンランドの子供たちが挙げたものと同じとは限りませんが、大人が手元に置いておく物差しとしては十分に使えます。
- 情報源を確認しましょう — その情報はいつ、どこから発信されたものか。根拠は示されているか
- 他の人やメディアの発信を確認しましょう — 同じ話を、ほかではどう伝えているか
- 画像や動画が本物かどうか疑ってみましょう — 過去のものが使い回されていないか
- 背後にある意図を考えてみましょう — 多くの場合、その情報には広めたい何らかの意図がある
- ファクトチェックの結果を確認しましょう — その情報が事実に基づいているかを第三者が調べた結果が、すでに公開されていないか
並べてみると、特別な知識が要るものは一つもありません。知っているかどうかより、立ち止まって使えるかどうかの話です。
そう考えると、この5つを親が読み上げるより、先に「あやしいなと思うのって、どんなとき?」と子供に聞いてみるほうが、順番としては自然な気がします。すぐには出てこないかもしれませんし、この5つのどれとも違う答えが返ってくるかもしれません。それでも、うまく言葉にできなかった違和感に名前がつくこと自体が、この課題の中身なのだと思います。挙がらなかった項目は、無理に埋めなくていい。親のほうが覚えておいて、また別の機会に持ち出せば十分です。
子供の目線では
子供にとって、ネットで流れてくる情報は「本当かどうか」よりも「面白いかどうか」「友達も見ているかどうか」で判断されがちです。友達がシェアしてきた投稿を見て、疑うより先に「それ知ってる、面白いよね」と一緒に盛り上がりたくなる瞬間もあるはずです。逆に、心のどこかで「これ嘘っぽいな」と思っても、場の空気を壊したくなくて黙ってしまう子もいるかもしれません。「友達と話題を共有したい」という気持ち自体は自然なものですが、それが「確かめずに信じる」ことにつながりやすい、という面もありそうです。
家庭に持ち帰れる小さな習慣
日本の学校教育がフィンランドのように今すぐ変わるわけではありません。それでも、家庭でできることはありそうです。
フィンランドの授業のように、ニュースやSNSの投稿を見たときに「これ、本当かな?誰が言っているんだろう?」と親子で一緒に考える習慣は、今日からでも始められます。正解を教え込むのではなく、「一緒に確かめてみる」というプロセスそのものが、子供にとっての練習になるはずです。
「友達がみんな信じてるのに、自分だけ『それ嘘じゃない?』って言うの、ちょっと勇気いるんだよね」——そんな本音が子供から出てきたら、それは情報を鵜呑みにしない力が育ち始めているサインなのかもしれません。
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