アプリやサービスを選ぶとき、「これは子供向けに作られているのか」を確かめる手立ては、実はあまり多くありません。多くの場合、保護者が個々に判断し、設定でどうにかするしかないのが実情です。
英国には、その前提を変える法律があります。
サービスの「設計」そのものを法律で縛る
英国には「Children’s Code(通称: 子ども向けデザイン規範)」という枠組みがあります。子供のプライバシーを守る観点から、子供が使う可能性のあるオンラインサービスに対し、企業側に「子供に配慮した設計」を義務付けるものです。この枠組みは英国発ながら、インドネシアや米国のバーモント州・ネブラスカ州で同様の制度が導入されるなど、世界的に影響を広げてきました。5Rights FoundationやTIGA(業界団体)などの解説によれば、カナダやオーストラリアでも追随を検討する動きがあるといいます。
英国のデータ保護法改正(Data (Use and Access) Act)の成立を受けて、この規範がAIやメタバースといった新しい技術領域にもきちんと対応できているか、今まさに情報コミッショナー事務局(ICO)による見直しが進められています。
年齢確認の手法としては、顔画像から年齢を推定する方法など複数の手法を組み合わせる「ウォーターフォール方式」がICOの公式見解として認められているようです。一つの方法だけに頼らず、精度を上げていく発想と言えそうです。
子供の目線では
「子供向けに設計されているかどうか」は、普段子供自身が意識することはほとんどないかもしれません。ただ、広告の出方や、次々とおすすめが表示される仕組みなど、使っていて「なんだか長く使わされている気がする」と感じた経験がある子供は少なくないはずです。顔画像から年齢を推定される、という仕組みについても、便利さの裏で「知らないところで勝手に判定されている」ような落ち着かなさを覚える子供がいるかもしれません。設計そのものへの規範があるということは、そうした違和感の背景に、企業側の設計判断が関わっているということでもあります。
日本ではどうなっているだろう
日本には、英国のように「子供向けの設計」を法律で企業に義務付ける枠組みは、今のところありません。サービスを選ぶ判断は、保護者がアプリごとに個別に確認し、設定で対応するのが基本です。
「サービス側の設計に対する法律」と「家庭ごとの設定」、どちらか一方が正解というわけではなさそうです。ただ、「使う側が頑張って対策する」以外にも、「作る側に一定の配慮を求める」という道があることを、英国の事例は教えてくれます。今使っているアプリのどこかに、「なんだか長く使わされている気がする」という違和感があれば、それは子供の側だけの問題ではないかもしれません。
「なんで長く使わされてる気がするか、作っている会社側にもちゃんと理由を説明させる仕組みがあるらしいよ」——そんな一言を子供に伝えてみることが、家庭で話す入口になりそうです。
関連する用語
- (英国)子ども向けデザイン規範(Children’s Code) — 今回取り上げた英国の枠組み。


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